スポーツに打ち込む子どもたちの成長を願う一方で、「体の悲鳴」に気づかず進行してしまうのが“スポーツ障害”です。とくに成長期には、骨や筋肉がまだ未発達なことから、過度な練習や繰り返しの動作によって体に負担が蓄積しやすくなります。本記事では、成長期に多い代表的な障害やそのメカニズム、予防と早期発見のポイント、そして接骨院での対応について詳しくご紹介します。
成長期に多いスポーツ障害とは?
成長期のスポーツ障害とは、繰り返される動作や過度な運動負荷により、筋肉・腱・骨といった運動器に慢性的な障害が生じる状態です。転倒や接触による「スポーツ外傷」とは異なり、目に見えづらい“オーバーユース(使いすぎ)”によって少しずつ悪化していくのが特徴です。
代表的な症状としては以下のようなものがあります。
- オスグッド・シュラッター病:膝の下が出っ張って痛む。サッカーやバレーに多く、成長軟骨への牽引ストレスが原因。
- シーバー病:かかとの痛み。ジャンプや走る動作で悪化。成長中の踵骨への負荷が関係。
- ジャンパー膝(膝蓋腱炎):膝のお皿の下が痛む。繰り返すジャンプ動作が要因。
- 野球肘・リトルリーグ肩:投球動作の繰り返しで肘や肩に炎症や変形が生じる。
- 疲労骨折:ジャンプや長距離走など、同じ動きを続けることで骨にヒビが入る。
これらの障害は、「成長軟骨(骨端線)」が柔らかく、筋肉や腱の発達が追いついていないことが背景にあり、少しの負担でもダメージにつながりやすいのです。
子どもの「痛い」は我慢させないで
スポーツ障害が厄介なのは、“子ども自身が気づきにくい”こと、そして“痛みを我慢しがち”なことです。レギュラー争いや仲間の目、親の期待を感じて、「痛い」と言い出せずにプレーを続けてしまう子も多くいます。
保護者ができることは、
- 「痛いと言ってくれてありがとう」と伝える
- 「ケガをしたらダメ」ではなく「早く気づけて偉い」と励ます
- 子どもが言葉にしなくても、「プレー後の表情」「歩き方」「体の使い方」などをよく観察する
ことです。子どもが安心して体の不調を伝えられる雰囲気をつくることが、予防と早期発見の第一歩です。
予防のカギは「家庭でできるサポート」
スポーツ障害の多くは、日々の習慣や意識の積み重ねで防ぐことができます。以下の7つのポイントを意識してみてください。
① 練習と休養のバランスを整える
週に2日以上は完全に運動から離れる日を設けましょう。複数のチームや部活を掛け持ちしている場合は、スケジュールを把握し、親が「休ませる決断」をすることも大切です。
② ストレッチや柔軟体操を習慣に
練習前後のストレッチは、筋肉や腱の緊張を和らげて障害の予防につながります。親子で一緒に行うことで、体の左右差や違和感にも気づきやすくなります。
③ 成長スパート時のトレーニングには注意
急激に背が伸びる時期は、骨の成長に筋肉が追いつかず関節に負担がかかります。スキル習得よりも基礎動作の確認を優先し、無理なウェイトトレーニングや連続ジャンプは避けましょう。
④ 栄養と睡眠で“回復力”を高める
成長期はエネルギー、タンパク質、カルシウム、鉄分などが特に必要です。さらに、8〜10時間の十分な睡眠を確保することで、疲労の蓄積を防ぎ、体の修復がスムーズに進みます。
⑤ 医療機関・接骨院での定期チェックを活用
痛みが出てから慌てるのではなく、スポーツ整形外科や接骨院で「姿勢チェック」「柔軟性の確認」「歩行・フォーム指導」などを受けておくと、潜在的なリスクの早期発見につながります。
⑥ チームや指導者との連携
指導者によっては、「痛みは我慢するもの」という雰囲気があることも。保護者として「安全を優先する方針かどうか」を確認し、子どもが安心して相談できる体制を整えておきましょう。
⑦ 足元から整える
靴が合っていないと、かかとや膝、腰などに負担がかかります。サイズだけでなく、クッション性や安定性、必要に応じたインソールの使用も検討しましょう。
接骨院ができること〜成長期スポーツ障害の現場対応
平田接骨院では、スポーツ障害に対して次のような対応を行っています。
- 丁寧な問診・触診による状態確認 → 使い過ぎ、フォームの癖、負荷のかかる部位を見極めます。
- 電気治療・超音波・微弱電流などによる物理療法 → 炎症や痛みの緩和、組織修復の促進を目的とした施術です。
- 手技療法やテーピング、ストレッチ指導 → 柔軟性や筋力のバランスを整え、痛みの改善と再発防止に。
- 姿勢・歩き方・体の使い方の指導 → 根本的な原因にアプローチし、競技を続けながらの改善を図ります。
- 医療機関との連携(紹介) → 骨の変形や強い痛みがある場合は、整形外科へ速やかに紹介いたします。
また、当院ではオーダーメイドインソールの作成や、スポーツパフォーマンスの基礎となる動作教育にも対応しています。子どもの未来を守るため、ただの施術で終わらせず、「整える・育てる・予防する」ケアを大切にしています。
まとめ 子どもの成長と未来を守るために
スポーツ障害は、「真面目に頑張る子」ほどリスクが高まるものです。成長期特有の体の未熟さに加え、無意識の我慢や指導環境が重なれば、症状は見えにくく深刻化します。
保護者にできることは、“無関心”でも“過干渉”でもなく、「いつでも相談していいよ」「体を大事にするのも努力のうちだよ」と伝えることです。
小さなサインを見逃さず、整形外科や接骨院などの専門家と連携しながら、子どもの競技生活を支えていきましょう。
✦「うちの子は大丈夫」ではなく、「うちの子も“なりうる”」という意識が、すべての予防の出発点です。
記事の監修者


平田接骨院 院長 平田健一郎(柔道整復師)
当院は、東広島に根ざした地域密着型の接骨院として、一人ひとりの「困った」に真摯に向き合っています。柔道整復師の国家資格に加え、インソールや運動指導に関する専門資格も取得し、的確な判断と施術を心がけています。最新機器を活用し、早期改善と根本ケアを両立。患者さまの生活の質を高めることを大切にしています。
保有資格・所属
- 国家資格 柔道整復師(厚生労働大臣認定)
- 公益社団法人 日本柔道整復師会 会員
- NASYU インソール ベーシックマイスター(2016年10月取得)
- NISAC SAQ(スピード・アジリティ・クイックネス)レベル1 認定インストラクター(2003年3月取得)