肩こりや腰痛に悩む人は年々増加しています。特にデスクワークやスマートフォンの長時間使用が日常化した現代では、「なんとなく重い」「気づいたら痛い」といった悩みが常態化している方も少なくありません。
そんな中でよく耳にするのが「ストレッチをするといいらしい」という話。でも、本当に効果はあるのでしょうか?どこまで予防できるのでしょうか?
本記事では、柔道整復師としての視点から、医学的な根拠や臨床現場での実感も交えながら、「ストレッチと腰痛・肩こり予防」の関係についてわかりやすく解説します。
ストレッチは腰痛や肩こりの予防に効果があるのか?
結論から言えば、日常的なストレッチ習慣は、腰痛・肩こりの予防に有効であるという研究報告は非常に多く存在します。
特に、腰部では「脊柱起立筋」や「大腰筋」、肩こりでは「肩甲骨周囲筋」や「僧帽筋」などの緊張を緩め、血流を改善することで、こわばりや痛みの予防につながるとされています。
また、ストレッチには「筋肉や筋膜の柔軟性を維持し、関節の可動域を広げる」「姿勢を安定させる」「ストレスを軽減する」といった複合的な効果もあることがわかっています。
「肩がこるのは歳のせい」「腰が痛いのは体質だから」と諦めていた方も、ぜひ“ストレッチ”というセルフケアの可能性を見直してみてください。
なぜストレッチが効くのか?4つの科学的な理由
日常的なストレッチが腰や肩に良いと言われるのは、単なるイメージではありません。医学的なメカニズムに基づいた、明確な効果が期待されています。
【1. 筋肉の柔軟性維持・関節の可動域改善】
筋肉が硬くなると血流が悪くなり、疲労物質や老廃物がたまりやすくなります。ストレッチで筋肉や筋膜(ファシア)をやさしく伸ばすことで、柔軟性が高まり、筋肉への負担が減少します。
【2. 血流促進・疲労物質の除去】
ストレッチにより筋肉内の血行が改善されると、溜まった疲労物質が流されやすくなり、回復も早まります。肩や腰の「重だるさ」や「違和感」が軽減される理由の一つです。
【3. 姿勢改善・身体バランスの調整】
長時間の座り姿勢や偏った体の使い方が続くと、姿勢保持に関わる筋肉が硬くなり、姿勢が崩れてしまいます。ストレッチは、こうしたアンバランスを整える助けになります。
【4. リラクゼーション効果・ストレス軽減】
ストレッチ中に深い呼吸を行うことで、副交感神経が優位になり、心身がリラックス状態に切り替わります。ストレスが原因となる筋緊張や自律神経の乱れに対しても有効です。
ストレッチの限界と注意点──“効かない”と言われる理由
「ストレッチしても肩こりが治らなかった」という声も少なくありません。それにはいくつかの理由があります。
【1. 慢性症状や神経症状にはストレッチだけでは不十分】
しびれや激しい痛みがある場合、単なる筋緊張ではなく神経系や椎間関節の問題が関わっていることも。
この場合は、まず整形外科や接骨院などでの評価が必要です。
【2. やり方が自己流・反動をつけてしまう】
効果的なストレッチは「ゆっくり伸ばして30秒キープ×数セット」が基本。反動をつけたり、勢いよく行うと逆効果になることもあります。
【3. 継続できていない】
ストレッチは“続けてナンボ”です。一度や二度では効果は感じにくくても、毎日5分でも積み重ねれば、数ヶ月後には明らかな変化を実感できる方が多いです。
【4. そもそも生活習慣が乱れている】
ストレッチをしていても、スマホ姿勢・長時間同じ姿勢・睡眠不足・運動不足などの「腰痛・肩こりを招く生活」が続けば、予防効果も限定的です。
ストレッチ+○○で“最も効果的”な腰痛・肩こり予防に
ストレッチは有効ですが、単独では限界があります。もっとも効果的なのは、
「ストレッチ × 筋トレ × 姿勢改善 × 生活習慣の見直し」
という多角的アプローチです。
たとえば、腹筋や背筋といった体幹の筋肉を少しでも鍛えることで、姿勢保持が楽になります。また、ストレッチで柔らかくなった関節や筋肉を「動かす」ことで、血流やリンパの流れもさらに良くなります。
さらに、長時間のデスクワークの合間に“1分だけストレッチをする習慣”を入れたり、朝晩のルーティンに「寝る前の肩甲骨ほぐし」を加えるだけでも、大きな変化が出ることもあります。
まとめ|ストレッチは「身体と向き合う時間」。予防の第一歩に
ストレッチは、医学的にも根拠ある“腰痛・肩こり予防のセルフケア”です。
柔軟性の維持、血流促進、姿勢調整、リラックス――どれも、慢性的な痛みに悩まされない体づくりには欠かせない要素です。
ただし、“万能薬”ではありません。やり方、頻度、生活習慣、体の状態によって効果には差が出ます。
症状が強い場合やなかなか改善しない場合は、ぜひ接骨院などで一度身体を評価してもらうことをおすすめします。
平田接骨院では、ストレッチの指導はもちろん、姿勢分析や筋力評価をもとに、個々の体に合わせたアドバイスも行っています。
「今の痛みをなんとかしたい」
「これ以上悪くならないように予防したい」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
毎日の小さな積み重ねが、数年後の「ラクな身体」をつくってくれます。その第一歩として、ストレッチを習慣にしていきましょう。
記事の監修者


平田接骨院 院長 平田健一郎(柔道整復師)
当院は、東広島に根ざした地域密着型の接骨院として、一人ひとりの「困った」に真摯に向き合っています。柔道整復師の国家資格に加え、インソールや運動指導に関する専門資格も取得し、的確な判断と施術を心がけています。最新機器を活用し、早期改善と根本ケアを両立。患者さまの生活の質を高めることを大切にしています。
保有資格・所属
- 国家資格 柔道整復師(厚生労働大臣認定)
- 公益社団法人 日本柔道整復師会 会員
- NASYU インソール ベーシックマイスター(2016年10月取得)
- NISAC SAQ(スピード・アジリティ・クイックネス)レベル1 認定インストラクター(2003年3月取得)